「何食べたい?」
「なんだろうねー」
空腹は最大のスパイスなんていう言葉があるけど、大人になると「めちゃくちゃお腹すいたーっ」てシチュエーションなくなった。
なんて事を思いながら入店したんだけど、ここお昼時は結構行列しててウェイティングに名前書いたら6組目。
入口近くで待ってるうちにチャーシューの香ばしい匂いや麺の茹で上がる匂いや醤油が焦げる匂いに食欲がどんどん湧いてきて、壁に貼られたチャーシューわんたんそばや唐揚げやホルモン焼きの写真に目が泳いでしまう。
早く順番来ないかなぁ。あ、外を見て…また行列が増えてるよ。
ふと目の前のカウンター席に座っている老夫婦が視界に入ってくる。
それぞれの前に麺の丼と、その中間に唐揚げのお皿。
老婦人はお箸の先にそれこそ一筋ほどの麺をからめゆっくりと口に運んでいる。
そしてふたりの間にある唐揚げを指して「あなた頑張って食べなさいよ」(多分)と旦那さんに小声で促しながら自分はキャベツをこれまた少しつまんで頬張る。
旦那さんはコップの水をグイと飲んで「おまえももっと食べないと…」(多分)と長年連れ添った妻の横顔に呟きながら唐揚げに箸をのばす。
結局、ふたりで完食することはできずお店のご厚意でお持ち帰りしていたようですが、このご夫婦をはじめとしてお客様皆さんを家族のように温かく受け入れてくれる空気感は店名に恥じないものだと思います。
そんなこんなで名前を呼ばれカウンターに連れと並んで座り注文したのは
わんたんそば 950円(内税)
ぴりりつけそば 900円
からあげ 600円
まず、唐揚げがドドーンと登場!冗談みたいに多いですー。
わんたんそばもボリュームがあり、濃いめの味付けです。
チャーシューもワンタンも食べ応えあります。
香味野菜の三つ葉が良い仕事してました。
相方はぴりりそばを食べたのですが「塩辛い、つけだれの味がバラバラ」と珍しく酷評だったのですが、私の丼からスープを味見すると「こっちの方がまだいい」と言っていました。
唐揚げは一口食べて「ラードで揚げてるねー」と。そうかサクサクとした口当たりは油のせいなのか。
店を出て車に乗り込み雨の湯河原を少しドライブ。
(私たちもいつまでもふたりで拉麺鉢並べて何気ない話をしながらご飯食べられたらいいな)
雨粒をはじきながら左右するワイパーをぼんやりと見ながら考えていると
「奥湯河原まで行ってみようか」
私は迷うことなく「うん、行こう!」と応える。