夏になると思い出す味がある。
それはカキ氷でできた紅梅。
小さな駄菓子屋さんを営んでいたおばあちゃんが、お客さんの注文を受けてスワンの手動かき氷機に大きな氷を乗せてシャカシャカとハンドルを回す。
それはそれはふわふわとした氷が器に山のように重なり落ちる。
途中イチゴや白蜜をかけると、しゅわしゅわと山が小さくなってそしてまた削られた氷で元の山になる。
こんもりとした氷でできた山の器をお客さんに運ぶと、おばあちゃんはまたかき氷機の前に戻り、器から零れ落ちた氷を大事そうに両手で集めて梅の木枠型にぎゅっぎゅっと押し込んで枠から外すとイチゴ蜜をかける。
木枠を外してできた赤梅のシロップの味は今でも忘れられない。
そんなカキ氷を思い出させてくれるお気に入りは「いっぷく亭」さん
注文したのは氷あずきと相方は宇治白玉金時。
氷あずき 780円(外税)
宇治白玉金時 920円
器には今にも崩れてきそうなほど高く盛られたふわふわ氷。
素材にこだわった小豆が所々顔をのぞかせている。
白玉は別皿で出してくれるので最後まで固くならずに最後までもちもち。
「食べ終わるころは寒くなるよ」おばちゃんの言う。
「ふわふわやから、寒くなる前に食べ終わるよー」そう答えたものの、ほんまや最後の一口を掬う時は寒くなってた。
熱いお茶が添えられているのも嬉しい。
都電荒川線の庚申塚駅ホームにあるのでホームに滑り込む電車や乗り降りする人を眺めながら熱いお茶を飲み干す。
氷の季節が過ぎたらイチ押しの「おはぎ」と焼きそばのセットや「おはぎ」と珈琲のセットがおすすめ。
他にも心太、おしるこ、あんみつ、白玉蜜豆…迷ってしまう。
ぼんやりと外を見ていたらまた電車が滑り込んできた。