雨の匂い

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音のない雨がぽつぽつ地面を濡らしている。 「今日はお庭に出るの止めようよ」と言いながら、足元を纏わりつく愛を見ると大も行く気満々で出口でスタンバっているので納得していただくために少し外に出た。

夫が「桃の蕾が一日ですごく大きくなっている」と、物凄い発見をしたかのように言ってたのを思い出し桃の木を見ると本当にこの間まで固い蕾だったのが、先端が少し開いて花びらの色をのぞかせている。

誰に教わったわけでもないのに去年と同じように、愛ちゃん桜が葉桜になりかけた時、ちゃんと蕾をほどきつまみ細工のような愛らしい花をさかせる。

辺りを包む湿った土の匂いは去年の記憶を甦らせる。
満開の桜が枝分かれしているところで夫が大と愛を交互に抱いた。
愛は如何にも困ったような顔をして、大は(しょうがないなぁ)とでも言いたげな表情で沢山写真を写したっけ。

雨の匂いは速度を増して広がってきた。

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