助手席の車窓から紺碧の海が広がり太陽光が海面をキラキラと輝かせて宝石のよう。
伊豆は海も山も美しい色彩を感じることができて心が癒される。
135号線の白田海岸から天城ハイランド方面へ入る。
この道大丈夫?と不安になるような山道をガタゴト走り、ペンションやオートキャンプ場のある集落を抜けると漸く大杉への入口が見える。
途中、野生の鹿に出会い、それだけでワクワクが止まらなくなる。
車を降りてから大杉までは徒歩で15分もかからない筈だけど順路が心もとない不安で時間の感覚を分からなくする。
林床植物や苔類に見とれ、崩れかけた橋桁にビビりながら歩く原生林の中で進むべき方向を迷う。
「標識ないよー」
「赤ペンキで印してある木が道しるべだよ」
そう教えられると森の中に取り残されたような気持ちは一瞬に吹っ飛んだ。
まるで森の中に置き去りにされたヘンデルが目印に置いて行った小石のように
木に塗られた赤ペンキや枝に結ばれた赤いテープが私たちの道順を示してくれる。
トレッキングシューズの足取りも軽くずんずん進んでく。
「赤ペンキにそんな意味があるとは知らんかったわ。」
「そんなん山の常識」
と笑われる。
まだまだかなと思っていたら突然のように壮大な景色が現れ感動する。
林野庁の「森の巨人たち100選」に選ばれている伊豆半島第一級の老巨木。
推定樹齢1,000年、高さ45m、幹周8.16m、原生林の中に佇むシラヌタの大杉。
あたりは神秘的でひっそりと木霊が宿っているような神聖な空気感。
今日、パワースポットで一般常識をまたひとつ覚えることができたことに感謝。
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