あの子たちに会いに行った。
「エブリー」という名前で呼ぶのは世界で私たち夫婦のふたりだけ。
べっこうのような難しい模様で黒と明るい茶色のサビ猫ちゃん。
始めて会った時からスリスリしてくれた。
かと言って出しゃばる訳でもなく、ご飯を食べる時も後ろの方で他の子達が食べ終わるのをまっているような性格で、とても賢そうな顔をしているのに、この子を可愛く撮るのは本当に難しくて、その複雑な色の具合に可愛い表情が持ってかれてしまう。
その時は突然訪れた。
エブリー達と遊んでいたら、近くから声がした。
「ワカメ食べるかね」
え
なんでワカメ?
ワカメって言ったよね、さっき
耳が可笑しくなっちゃったのかな・・・
すると再び
「ワカメ食べるかね」
地元の気の良さそうなおっちゃんが高枝切りばさみみたいなものを持つ手を休めて声掛けてくれた。
その時エブリーが
「ワカメ取ってあげようかって言ってるよ」
て教えてくれて、私は二つ返事で
「食べる!食べるー!」
おっちゃんが海からすくい上げてくれたよ
「袋持っとるかね」
「あるー」
その時のエブリーの顔、可愛いでしょ!
目が語りかけてるw
その後、エコバックに大事に詰め込んで家に持ち帰り、茶褐色のひらひらした藻を熱湯で茹でると、手品みたいに一瞬に綺麗な緑色に変わって驚いた。
半分はそのままポン酢をつけて、残りの半分は鶏のせせりとワカメのスープにしたんだけど、少し前まで気ままに海にいたワカメと、市販のワカメと同じように調理された目の前のワカメが同一のものだと脳内変換がなかなか追いつかず不思議スパイスの加わった素敵なお味でしたとさ。