ジェロという名の猫

投稿日:


長毛の三毛さんに出会ったのはセリアの駐車場でのこと。
生垣の石積みに腰かけた年配の女性の横に見守るようにちょこんと座った猫ちゃんの少し寂しそうな顔に惹かれて近寄ってゆくと予想に反して人懐っこい猫ちゃんで迷わずに近寄ってきてくれた。

聞くとその女性の家で飼われている猫ちゃんで名前は「ジェロ」。
近くにいた曾孫らしい幼い子こどもが「ジェレ」だよと訂正していたけど、猫ちゃんとおばあちゃんにとっては大きな問題ではない。

家人が急いで車に走り、戻ってきたら手のひらにドライフードを載せてジェロの口元にもっていく。
大概の猫には逃げて行かれる家人の好意を無にしないフレンドリーな猫だ。

おばあちゃんが独り言のように言うには近くの野原に捨てられていたのを孫たちに「自分達で世話をするから飼ってもいいでしょう」とせがまれて飼い始めたらしい。
「フードも自分達の小遣いで買ってきている」
「賢い猫でここに買い物に来るときも歩いてついてくる」と笑顔で言う。

私は想像する。

お小遣いを出し合って、スーパーでジェロの為にフードを選ぶ子どもたちの姿。
「これがいいや」「でもお小遣いじゃ足りないね」「こっちもいいんじゃない」

プレミアムフードではないかもしれないけど、ジェロちゃんはきっと温かい家族の愛に包まれて賑やかで幸せに毎日を過ごしているんだろうな。
そして子供たちは大きくなってからも、ジェロちゃんと過ごした普通の毎日を忘れられない記憶として心に残るんだろうな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントに画像を挿入できます (JPEG のみ)